2013年1月6日日曜日

小野路散策 その1(1月4日)

この冬は寒い日が多く,外に出るのが億劫になりますね。でも正月家の中にばかりにいると,食べ過ぎと運動不足で仕事がつらくなってしまいます。仕事始めのはずの4日に,金曜日なのをいいことに休みを追加してウォーキングです。

最初は目的をあまり決めないで町田の野津田公園あたりと思って出かけましたが,思わぬ展開になりました。

久しぶりに野津田公園に来てみると,公園内の様子が随分と変わっています。かつて子供たちと訪れた広い公園は,町田ゼルビアのホームとしてのグランド施設整備を今年3月竣工を目指して最後の仕上げ中でした。工事用の柵に囲われて立ち入れない場所が多くあり,駐車場も平日は西口は工事関係者オンリーになっています。

で,ちょっとこの公園内だけで散策するのは物足りないので,手持ちの町田市の資料を参考に,小野神社のほうへ足を延ばしてみることにしました。


いつもお気に入りのラーメン店『ねぎぼうず』へ向かう時に必ずその前を通る『小野神社』ですが,お参りするのは初めてです。丁度正月でもあるので,いいタイミング。

まず野津田公園の西口を出,都道156号線を目指しますが,実はその途中に旧大山道を横切るところがあります。156号線にほぼ並行していますが細く車が少なく,もちろん古い道なので趣もあります。丁度小野神社近辺から,南多摩整形外科病院までの間が,林間の好い道になっています。

途中,復元された旧一里塚を発見。




小野神社へ向かうと,道の左右は斜面や土のままの崖が多く,もうそれだけで古い街道を感じます。




今はクルマさえ通らなければ閑静な里山である小野路ですが,由来は古くからの場所のようですね。




さてこの小野神社,かつては府中と鎌倉を結ぶ街道に位置していたわけですが,上の写真のように,幕末時点では『小野路宿』の端に位置する社だったようです。写真の中央付近を横切る家並みが小野路宿,その左端に小野神社があります。

この宿場街道,今はそのまま都道156号線になっていて,つい最近まで狭くて車のすれ違いが難しい道。今でも一部すれ違いできない区間もあります。丁度写真で道が右下へうねうねと進むところがありますが,これが旧道の156号線。この道の先には今は恵泉女子大があります。新しい156号線は写真にはありませんが,うねうねせずにそのまままっすぐ右にとり,急斜面を登りきると多摩ニュータウン通りと『多摩南野』で交差します。

現代の地図で見ると,




上で,『旧府中道』とあるのが,幕末の地図のうねうね道になります。

と,ここで町田市の資料を見てみると,上の写真の小野神社のやや上にある『万松寺』界隈が,里山の古き良き景色を残している場所とあり,急遽そちらに足を向けてみることにしました。

いきなりですが,万松寺の土蔵です。白い漆喰は塗られてないようで,打ちっぱなしの土壁です。とても立派でした。




山門をくぐり境内へ。大きな金堂で,歴史を感じます。由来を拝見すると,創建は元徳二年(1330年)で,臨済宗建長寺派の禅寺です。鎌倉時代の創建ということで,場所を考えると鎌倉往還の途中での参拝もあったことでしょう。




境内の砂には波紋が描かれています。




山門から出て里山の道に出ると,境内の『榧(かや)』の大木が空を突き刺す様子が分かります。この木は町田市の銘木百選に選ばれています。




ほぼ同じ場所で左を見ると,こんな里山の風景が広がっています。車の轍がなかったら,時代劇の世界に入ってしまいます。




上の写真のほぼ正面の小高い丘のてっぺんが,小野路城址です。平安末期,鎌倉になる直前に小山田氏の副城だったところだそうです。

かなり急な上りを登ります。




登り切ったらやや広い道に出,




更に急登すると,




小広い頂上付近に到着。質素な祠が出迎えてくれます。




城址とはいえ,それらしきものは何も見当たりません。土塁もなければ石垣もない。1000年の昔は,いったいどんな城が築かれていたのでしょうか?掘立小屋?質素な寺社造の建物?想像するしかありませんね。

ここまで来て,小野路の奥深さにちょっと驚きと感慨を感じてしまいました。まだ入り口を覗いただけの感じです。時刻はすでに14時を回り,短い冬の日は傾き始めています。今日はここまでにしていったん帰り,また別な方角からこの辺を攻めてみることにしました。

里山が少なくなってきている日本ですが,東京都にこんな素敵な空間が残っているなんて,素晴らしいことです。これもすべて,地元の方々や近隣の自治体の協力の賜物でしょうね。これからの世代にも,こうした素晴らしい日本の自然の原風景を残していけたらいいですね。


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