2013年1月27日日曜日

小野路散策 その2(1月5日)

昨日小野路の自然と里山の美しさに触れ,日を置かずして別な方角から訪れてみることにしました。

昨日が小野路宿周辺の里山でしたので,この日は多摩ニュータウン通りから南下して小野路城址へ至り,さらに昨日のエリアの北辺を散策してみることにしました。

とっかかりは,小野路浅間神社です。こちらへは,一本杉公園から裏道を南下し,小野路宿を縦断して多摩南野へ駆け上がる都道156号線を渡り,急坂道の参道を登りました。



車の轍の跡が付いていますが,これは初詣時期のみゲートが開いて鳥居直下にある駐車場まで車で入れるようです。普段はゲートが閉じているので車は入れません。




鳥居をくぐり参道の一番高く見晴らしのいい所まで来ると,都道156号線を挟んでキャノンスポーツパークの施設と,更にその向こうに南野給水所の給水塔が見え,今いるところがスポーツパークの高さとほぼ同じ位置であることが解ります。




『浅間神社』とあることで分かるように,この神社のご神体は富士山です。上の写真の社殿に頭を下げると,その遠く向こうに富士山の頂があるので,自然と富士山を拝むことになります。方角でいうと南南西の方角で,ちょっと小高いこの位置からは白く雪をかぶった富士山がとてもきれいに拝めます。




浅間神社から,来た道と反対に下ると,やや細いですが車が通れる道に出ます。こちらからも車で来られるわけですね。でも駐車する場所はありません。

道に出たあたりに上のような標識を発見しました。この道は町田市の『footpath』というのに選ばれているんですね。標識も新しく,ここには⑫とありますから,いくつもの道があるようです。

歩いている周辺の景色は,こんな里山の真っただ中。




起伏のある里山の,平地部分を畑として利用います。現役の農地で,年配の方が作業している姿を見かけます。




しばらく行くといくつかの道が交差する分岐に到着。昔の標識も残っていました。丁度,小野路城址へと続く道(城道)と,小野路宿と小山田を結ぶ道の交差点です。

道を小野路城址へと取りました。




結構立派な道が付いています。いざとなれば車も通れそう。




こういう時代劇に出てきそうな道を歩くのは,楽しいですね。この日は人に会うこともなく,景色を独り占めすることができました。




小野路城址の直下に,周辺地域についての説明がありました。左の地図の中央上辺の▼印が現在地で,南東方向に広く保全地域が設定されているのが分かります。
この案内板にも書いてありますが,地域の方々の積極的な保全作業のおかげで,この素晴らしい環境が維持されているとのことで,多少の不便があっても環境を保っていこうとされている気持ちに応えるために,我々も協力したいと感じます。




城址のすぐそばに『小町井戸』と呼ばれる湧水があります。小野小町由来の真偽はともかく,こんな高台に水が湧くのは不思議ですね。城址を組んだのも,この水があってのことなのでしょう。

これまでほぼ南下して歩いてきましたが,ここで方向を少し変えて東北東に向かい,来た道とは違う道で出発点に戻ります。




相変わらず道は昔の儘のような静かなたたずまいです。




途中,荻生田牧場付近まで来たところで,展望が開けて椅子やテーブルが整備された場所があります。そこから南東の方向を望むと,遠く横浜のランドマークタワーを見つけることができました。上の写真で,中央やや左の遠景の高いビルがランドマークタワーです。その手前の照明塔は,野津田公園の競技場です。

横浜ランドマークタワーまでは直線でおよそ25Kmですが,この日は湿度が高いようであまりはっきりとは見えません。

ここまで来ると,昨日訪れた『万松寺』のすぐ近くです。ちょっと降りてみると,正月のどんど焼きの準備がしてありました。松飾りやしめ飾り,ダルマも供えられ,15日のどんどを待っています。




丁度その前に,どんどの供え物を見守るかのように並んでいた七体のお地蔵様たち。赤い頭巾と涎掛けを付けてもらって,こちらも物も言わずに佇んでいます。




156号線に向かって斜面を登っていくと,夏みかん?の木が何本も。実がたわわになって,見事です。そろそろ食べごろなのでしょうか。




小野路の自然を半日かけて堪能できました。もと来た場所へ戻ります。途中,こんなものを発見。付近を散策する人のために,自然環境に配慮した『バイオトイレ』でした。読んでみると,水は流さずにおがくずなどに吸収させ,自然に分解することで環境負荷を軽減しているようです。

水を流さないだけで,随分と環境負荷は減るのでしょうね。こんな努力が,自然環境を保全しているのだと解ります。



2013年1月6日日曜日

小野路散策 その1(1月4日)

この冬は寒い日が多く,外に出るのが億劫になりますね。でも正月家の中にばかりにいると,食べ過ぎと運動不足で仕事がつらくなってしまいます。仕事始めのはずの4日に,金曜日なのをいいことに休みを追加してウォーキングです。

最初は目的をあまり決めないで町田の野津田公園あたりと思って出かけましたが,思わぬ展開になりました。

久しぶりに野津田公園に来てみると,公園内の様子が随分と変わっています。かつて子供たちと訪れた広い公園は,町田ゼルビアのホームとしてのグランド施設整備を今年3月竣工を目指して最後の仕上げ中でした。工事用の柵に囲われて立ち入れない場所が多くあり,駐車場も平日は西口は工事関係者オンリーになっています。

で,ちょっとこの公園内だけで散策するのは物足りないので,手持ちの町田市の資料を参考に,小野神社のほうへ足を延ばしてみることにしました。


いつもお気に入りのラーメン店『ねぎぼうず』へ向かう時に必ずその前を通る『小野神社』ですが,お参りするのは初めてです。丁度正月でもあるので,いいタイミング。

まず野津田公園の西口を出,都道156号線を目指しますが,実はその途中に旧大山道を横切るところがあります。156号線にほぼ並行していますが細く車が少なく,もちろん古い道なので趣もあります。丁度小野神社近辺から,南多摩整形外科病院までの間が,林間の好い道になっています。

途中,復元された旧一里塚を発見。




小野神社へ向かうと,道の左右は斜面や土のままの崖が多く,もうそれだけで古い街道を感じます。




今はクルマさえ通らなければ閑静な里山である小野路ですが,由来は古くからの場所のようですね。




さてこの小野神社,かつては府中と鎌倉を結ぶ街道に位置していたわけですが,上の写真のように,幕末時点では『小野路宿』の端に位置する社だったようです。写真の中央付近を横切る家並みが小野路宿,その左端に小野神社があります。

この宿場街道,今はそのまま都道156号線になっていて,つい最近まで狭くて車のすれ違いが難しい道。今でも一部すれ違いできない区間もあります。丁度写真で道が右下へうねうねと進むところがありますが,これが旧道の156号線。この道の先には今は恵泉女子大があります。新しい156号線は写真にはありませんが,うねうねせずにそのまままっすぐ右にとり,急斜面を登りきると多摩ニュータウン通りと『多摩南野』で交差します。

現代の地図で見ると,




上で,『旧府中道』とあるのが,幕末の地図のうねうね道になります。

と,ここで町田市の資料を見てみると,上の写真の小野神社のやや上にある『万松寺』界隈が,里山の古き良き景色を残している場所とあり,急遽そちらに足を向けてみることにしました。

いきなりですが,万松寺の土蔵です。白い漆喰は塗られてないようで,打ちっぱなしの土壁です。とても立派でした。




山門をくぐり境内へ。大きな金堂で,歴史を感じます。由来を拝見すると,創建は元徳二年(1330年)で,臨済宗建長寺派の禅寺です。鎌倉時代の創建ということで,場所を考えると鎌倉往還の途中での参拝もあったことでしょう。




境内の砂には波紋が描かれています。




山門から出て里山の道に出ると,境内の『榧(かや)』の大木が空を突き刺す様子が分かります。この木は町田市の銘木百選に選ばれています。




ほぼ同じ場所で左を見ると,こんな里山の風景が広がっています。車の轍がなかったら,時代劇の世界に入ってしまいます。




上の写真のほぼ正面の小高い丘のてっぺんが,小野路城址です。平安末期,鎌倉になる直前に小山田氏の副城だったところだそうです。

かなり急な上りを登ります。




登り切ったらやや広い道に出,




更に急登すると,




小広い頂上付近に到着。質素な祠が出迎えてくれます。




城址とはいえ,それらしきものは何も見当たりません。土塁もなければ石垣もない。1000年の昔は,いったいどんな城が築かれていたのでしょうか?掘立小屋?質素な寺社造の建物?想像するしかありませんね。

ここまで来て,小野路の奥深さにちょっと驚きと感慨を感じてしまいました。まだ入り口を覗いただけの感じです。時刻はすでに14時を回り,短い冬の日は傾き始めています。今日はここまでにしていったん帰り,また別な方角からこの辺を攻めてみることにしました。

里山が少なくなってきている日本ですが,東京都にこんな素敵な空間が残っているなんて,素晴らしいことです。これもすべて,地元の方々や近隣の自治体の協力の賜物でしょうね。これからの世代にも,こうした素晴らしい日本の自然の原風景を残していけたらいいですね。


酒録 『琉球 古酒』

新年の始めは酒録から。

昨秋沖縄を35年ぶりに訪れ,月日の流れと自分の変化を様々なことから感じたのですが,泡盛のくーす(古酒)への思いは,年を経るごとに増すものがあります。




これは,新里酒造の『琉球 古酒』です。この蔵元は,酒録『琉球』でも紹介しました。その古酒ということになります。

ラベルにもありますが,新里酒造のHPには『蔵元創業は弘化三年(1846年)で,現存する沖縄の酒造所としてはもっとも古い酒造所と云われています。』とあります。

もっとも,古酒は普通3年以上貯蔵熟成させたものを言うようですので,蔵元の古さと古酒は直接関係ないわけですが。

とは言いながら,さすがに古酒は滑らか。『琉球』の激しさが嘘のようで,味わい深くまた深い香りがします。歳月が酒をこんなに変化させるんですね。




『薫り』,『旨味』,『余韻』の三つのテーマをコンセプトに仕上げたという三ツ星古酒。




泡盛はタイ米を原料にしますが,それが古酒になった時に独特の香りと味を生むのだそうです。この酒も実に深い味がします。

また写真を見てもわかる通り,度数が43度と高く,お薦めの飲み方は水割りとのことですが,ストレートで頂きます。水割りした方が飲み易いのは確かですが,ストレートの方が香りも味もよく解るような気がします。



飲んだ時の印象です。

色  :無色
香  :いわゆる古酒香
味  :甘くマイルド,ごくわずかにスパイシー,後に残るほろ苦さ
後  :キレよく甘みが残る

沖縄県那覇市 酒のスマイルにて購入


P.S.
『新里』は『にいざと』ではなく,『しんざと』と読むんですね。沖縄では地名は音読みが主体だと知っていましたが,つい『にいざと』と読んでいました。

あけましておめでとうございます

2013年になりました。昨年は海外との関係で色々と騒がしい年でしたが,今年もお隣さんとの関係は気になるところです。いい年になるといいのですが。




昨年は母が亡くなり,新年のご挨拶は喪中欠礼となりましたが,皆様にもご健勝でよい年になりますよう。